■今そこにある、アジアのカジノ競争

カジノ市場は2010年時点で全世界で1,090億ドル(1ドル=80円として8.7兆円)もの産業であり、2014年までに年率9.3%で成長し、市場規模は1,570億ドル(同12.6兆円)になると見込まれている *1 。その中でも、特にアジアでは、2010年時点で320億ドル(同2.6兆円)の市場規模が、年率23.6%で成長し、2014年までには630億ドル(同5.0兆円)になると見込まれている。

アジアのカジノと言われれば、真っ先に頭に浮かぶのがマカオである。マカオのカジノは19世紀に解禁され、すでに約160年の歴史を有する。長い間一部の運営業者に運営権が独占されていたが、1999年、マカオがポルトガルから中国に返還された直後に、外資系企業の投資を解禁したことで、ベネチアン・マカオやウィン・リゾート・マカオなどの欧米系の運営会社による投資が進んだことに加え、中国本土の経済成長とも相まって、カジノ収益は大きく伸び、2008年にはラスベガスを抜いて、都市別でのカジノ収益世界一となった。

その後も、収益は順調に伸び、2011年は約2,679億パタカ(2兆6,000億円)となっている(カジノ運営以外の収益含まず)。全30ヵ所以上のカジノが運営されるなど世界一のカジノ都市として不動の地位を獲得している。

また近年、急激な成長を遂げているのがシンガポールである。シンガポールは、宗教上の理由によりカジノを認めていなかったが、観光客数及び観光収入の停滞に加え、近隣諸国がカジノ解禁を検討していることに危機感を覚え、2005年にカジノ解禁を決定し、2010年から本格的な運営を始めた。

その効果については、マクロ環境などの他の要素の影響も存在するものの、カジノの運用が始まる前に960万人だった観光客数は、2010年には、1,160万人に増加し、さらに2011年には、1,300万人超となり、カジノの運用が始まる2009年と比べ、35%も増加している。シンガポール政府は、2箇所のカジノを含む統合型観光施設で、直接雇用35,000人、15億シンガポールドル(約940億円)の経済効果(カジノ運営以外の効果含む)を目標としている。

マカオやシンガポールでは、カジノを含む複合観光施設の経済効果は、大型ホテルやレジャー施設まで含めれば、少なくとも1拠点あたり年間数百億円以上に及ぶ。こうしたマカオ、シンガポールをおって、台湾やベトナムなどの近隣諸国もカジノ解禁を検討している。

■1施設あたり年間2,000億円の経済効果

仮に日本でカジノが解禁された場合、3,000億円超の事業投資及び年間2,000億円程度の経済効果が見込まれている。具体的には次のような効果がある。

① イニシャルで必要となる施設そのものへの建設投資や、遊戯器具などの設備投資に伴う効果。具体的には前者は都市開発を実施するデベロッパー、実際に建設を行う大手ゼネコンを始めとする建設業界で、後者はすでに外国でのカジノ向け遊具を販売している遊具会社やパチンコ遊具を販売している産業が対象となる。

② イニシャルコスト以外にも日々のカジノ運営に加え、その設備管理等のオペレーションに伴う効果。カジノ運営については、国内企業だけでなく外資企業の参入も必要となるかもしれない。また設備管理については、ビルメンテナンス等を行う産業が対象となると思われる。

③ カジノに付随した大型ホテルやレジャー施設、地域経済への波及効果。例えば宿泊施設やレストラン、お土産屋、交通機関などが考えられる。これらについては、地元のお店に加え、新規参入も見込まれる。

すでにいくつかの自治体は、一定の前提を置きつつ、その効果を試算している。例えば沖縄県は、仮に県内にカジノ施設を含む統合型観光施設ができた場合、イニシャルでの事業規模は、建設費用3,200億円、直接雇用13,000人を見込み、年間の収入(カジノ運営以外も含む)を2,100億円と見込んでいる。これによる県全体への経済波及効果は、合計で9,000億円、直接雇用者数は77,000人(建設47,000人、複合観光施設運営30,000人)に及ぶと試算している。

また、東京都は、新規需要2,200億円、直接雇用14,000人程度を見込んでいる。さらに千葉県は、大型の施設を建設した場合には、イニシャルでの建設費用は3,600億円、その後5年間の経済効果は1兆6,000億円、直接雇用者数は28,000人と見込んでいる。

■日本でカジノ解禁の議論は進むのか?

日本においても、2012年5月7日、外国人観光客誘致の切り札とすることに加え、東日本大震災の復興資源の捻出や地方自治体の財政再建を進めるため、カジノを中心とした複合観光施設 *2 の導入により観光復興を目指す超党派の議員により、カジノ設置を推進するための法案がまとめられた。

超党派の議連は、今国会への法案提出を目指していたが、自民党内の内閣・国土交通部会ではともに承認されたものの、民主党内の国土交通部会では、「ギャンブル依存が増える」などの反対意見も根強く、結局、今国会への提出は時期尚早、と判断された。

そのような状況ではあるが、今後、カジノに関する議論が活発化することは必定である。そこで、これまでのカジノ解禁に向けた議論を振り返ってみると、自民党政権時代から、活発化と中断を何度も繰り返しながら議論されてきたことがわかる。

まず、2002年に「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」が発足、2006年には自民党「観光特別小委員会」のもとに「カジノエンターテイメント小委員会」が設立され、法務省や国土交通省、警察庁などの関係省庁へのヒアリングを行うなど断続的に検討が進められてきた。

その後、中断期間を一時はさみ、民主党政権に移行した2010年には「国際観光産業振興議連」(IR議連、通称カジノ議連)が民主・自民を主にした超党派の議連として発足、民主党内にも内閣部門会議内に「統合型リゾート・カジノ検討ワーキングチーム」が設立され、議論が重ねられてきた。

以上のような経緯を経て、今回の法案では、カジノを含む複合観光施設の導入に向けた推進本部を内閣府に設置し、法案成立後2年以内に、カジノ解禁に必要な法体制を議論・整備することとなっている。

さらに立地については、地方自治体の申請を受け、国が指定することとなっている。現時点では設立を望むすべての地方自治体が認められるわけではないようであるが、これまでの議論を見ていると、当面は2~3拠点から始め、その後の拡大余地は残されているようである。

このように設置拠点数は限られるものの、カジノに伴い大型ホテルや各種レジャー施設が建設・運営されれば、これまでとは違った観光の目玉になることに加え、地元への多大な経済波及効果も期待できることから、その誘致に向けた地方自治体の誘致活動も自然と熱を帯びてきている。

例えば、東京都は、以前よりカジノ解禁に熱心であり、平成14年時点で、「東京都都市型観光資源の調査研究報告書」を取りまとめるなど、精力的に研究・誘致活動を行っている。また大阪市の橋下市長も、「任期中に、(カジノ誘致に向けた)道筋を付けたい」と発言するなど、すでに積極的な誘致準備活動を行っている。さらに東京都、大阪市以外にも、外国人観光客に人気のある北海道や沖縄県、そのほかにも和歌山県や静岡県なども独自に研究を重ね誘致を目指すものと思われる。

■国際競争力に懸念を残す日本のカジノ

カジノ解禁の主目的である観光復興のためには外国人観光客の獲得が必須である。実際に近隣諸国のカジノ利用者の内訳を見てみると、マカオの場合は9割近く、シンガポールにおいても6割近くが外国人となっており、カジノを観光の目玉として、観光復興を目指すためには、まずは外国人観光客を獲得しなければならないのだ。

しかし、既にマカオやシンガポールがカジノ運営において世界的地位を獲得していることに加え、台湾やベトナムなどの近隣諸国もカジノ解禁を検討しているなかでは、これらの国々と競争し、より多くの観光客を奪いとらなければならない。つまり、国際間の外国人観光客の争奪競争にさらされているというわけである。

そのような中で、仮に日本がカジノを解禁しても、ただでさえ後発なことに加え、今後中間層や富裕層の大幅な増加が見込まれ主要な顧客層となる中国人顧客に対して、マカオ・シンガポールに立地面及び言語面で大きなディスアドバンテッジを抱えることになり、国際間の外国人観光客の争奪競争に勝つことは容易ではない。

カジノで成功するには、カジノ及びカジノ以外の観光コンテンツにおける”日本の独自性”を構築するとともに、出入国管理法制や交通インフラなど観光の利便性の向上についても合わせて、総合的に競争戦略を考えることが必要である。具体的には、ゲームの種類や配当比率などに加え、個人の収益に対する税制などを含め、競合の近隣諸国に対し、競争力のあるものにしなければならない。

また、カジノ以外にも、日本独自の観光コンテンツの充実による差別化が必要となる。また観光客受け入れのインフラ面では、観光ビザ制度の見直しや海外からの航空便の充実のための空港管理法制の見直し、空港からカジノまでの交通インフラ整備などが必要となる。

■「大阪都」にカジノができる

そのような視点から、観光客の一大供給地である中国との位置関係や空港、その他の観光客の受けいれインフラの整備状況、カジノ以外で外国人に人気のある観光コンテンツである京都との隣接性や新幹線の利便性を勘案すると、国際間の競争に勝つには、大阪が有力な候補のひとつとなると思われる。

与野党による大阪都構想法案の一本化を受け、「大阪都」の誕生が現実性を帯びてくる中で、その象徴的意味も含めて、「大阪都」でカジノを特区的に解禁することは十分にありえるオプションである。

いずれにせよ、カジノで国際間競争を勝ち抜くための改革を行うには、所管官庁で見ても、出入国管理法制は法務省、税制は財務省、交通インフラ・観光コンテンツは国土交通省・観光庁など複数官庁に跨がっており、一筋縄ではいかない可能性が高い。

カジノ解禁に伴う推進本部は内閣府に設置される見込みであるが、如何に国際間の観光客争奪競争で近隣諸国に勝つかといった視点で、縦割り行政ではなく、一元的な戦略的思考を持って競争戦略を構築する必要がある。

逆にそうしなければ、数年後には、近隣諸国との外国人観光客の争奪競争に敗れてしまうだろう。カジノを訪れる顧客の大半が日本人というような状況では、国内での富の移転が起きるだけという、当初の目的とは大きくかけ離れた将来が待っていることになる。

「大阪都」がカジノ特区に乗り出すのであれば、素早く、そしてアジアの諸都市に打ち勝つ、競争力のある構想を掲げる必要がある。2020年にアジアNo.1カジノ都市になるためには、今すぐにアクションを起こさなければならない。残された時間の猶予はそれほどない。

【2012年7月23日 現代ビジネス】

 

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