カジノ施設構想: 動き活発化
「成田か」「幕張か」どちらが .企業や利用客ひきつける 知事ら海外視察や具体案提示
◇慎重論や否定的声も
県内で、カジノを含む複合施設(IR)誘致の動きが盛り上がってきた。県は経済団体などを巻き込み、外国人が多く集まる成田空港周辺での建設を目指し、具体案をまとめるなど実現に向けて本格始動。
千葉市でも、地元経営者らが幕張新都心へのカジノ誘致に名乗りを上げ、熊谷俊人市長と海外視察に出かけるなど動きが活発化している。
森田健作知事は就任当初から、羽田空港への対抗策として成田空港周辺でのカジノ構想に思いを巡らせてきた。
成田空港関連の会議では必ずカジノ構想について触れ、昨年11月にはシンガポールのカジノを視察。
年収の高い日本人1500人にカジノ構想についてのアンケートを行うなど、積極的に実現に向けて歩を進めている。
18日にあった県や県内の経済団体、関連企業などが参加する成田の活用戦略会議の会合では、具体的な2案が提示された。
アクセスしやすい空港隣接地に、航空法に抵触しないよう低層型の施設を建設するのが「A案」。
「和のリゾート」をテーマに、カジノのほか、歌舞伎などの日本文化を体験できる劇場も備え、概算建設費(用地費除く)は2000億円。
また、空港から離れた場所で航空法の制限を受けずに大規模な高層施設を展開する「B案」では、カジノや大規模展示場、ショッピングモール、高層ホテルなどを集結。
概算建設費(同)は3600億円となる。
経済効果は開業後5年間で、A案が1兆1000億円、B案は1兆5000万円。
雇用創出はA案が約2万人、B案が約2万8000人を見込んでいる。
ただ、出席者から「風紀の問題からもカジノは外国人限定にした方がいい」などと慎重な意見が挙がったほか、地元住民や空港会社の関係者からも「日本にカジノはそぐわず、成田で成功するとは思えない」と否定的な声もあり、地元の理解を得るためのハードルは高そうだ。
成田商工会議所(諸岡孝昭会頭)は30日に「IR誘致推進協議会」の設立総会を成田市内で開いて、機運の盛り上げを図る。
一方、千葉市では地元の経営者らが中心となり、幕張へのIR誘致に向けた動きを加速させている。
超党派の市議らが「市議会IR議員連盟」をつくり、市長に幕張誘致の要望書を提出するなど熱が入る。
「幕張は世界のコンベンション(会議場)シティーをイメージして作られており、IR建設に向かうのは自然」と話す熊谷市長も今月中旬、地元経営者らとシンガポールのIRを視察。
開発企業と意見交換するなど精力的だ。
成田カジノ構想については「投資するだけの利用者を集められないのではないか」とチクリ。
「幕張には海もコンベンションもホテルもアウトレットもあり、ある程度完成されている」と対抗心を燃やしている。
一からの開発案を提示する成田と、国際会議場などすでにIRの一部となる施設がある幕張。
どちらがより、企業や利用客をひきつけ、IRの実現に近づけるか。
「カジノの合法化には時間がかかる」(熊谷市長)とみられ、県と千葉市の「IR狂騒曲」は今後も続きそうだ。
【2012年05月28日 毎日新聞】
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